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霧の中で

管理人「ガン」(Key系小説同人サークル「オーパー」支配人兼音楽監督)

ハイリスクみらくる&魔法のじゅもん短編小説 『クィーン』  その1

 みゅいん

「あ!のんちゃん!お帰り!」

 ちづ子の部屋に現れたワープホールからのぶ子が姿を現す。嬉しそうに声をかけるちづ子。

「たっだいまー!」

 上機嫌。

「突然帰っちゃうからびっくりしたよー!」

「ごめんねー」

 そういうのぶ子の手には、紙に包まれた長い棒の様な物があった。

「のんちゃん?それは?」

「へへ!これを手に入れるために帰ってましたっ!」

 その棒のようなものを掲げるのぶ子。

「またステッキ?」

「そう!行きつけのステッキ屋さんが特別に手に入れたんだって!私にわざわざ教えてくれたんだよ!」

 うっとりしながら嬉しそうにそのステッキにほお擦りするのぶ子。

「?そのステッキ、頭の部分が大きいね」

 そのステッキは、包装紙に包まれているため全容は明らかではないが、明らかに頭の部分が大きく、丸い。

「ふっふっふっ…この形、分からない?」

 のぶ子の差し出したステッキを改めてよく見るちづ子。

「!」

 はっとする。

「セブンズ・ロッド!」

「正解!」

 そう言いながら厳重に包装されたステッキを解いてゆく。

「で、でも、セブンズ・ロッドはそれぞれに持ち主が決まっていて…も、もしかしてのんちゃん!セブンズ・ロッドに選ばれたの?」

 畳み掛けるように話すちづ子。

「残念だけど違うよ」

 そう言ってのぶ子は、ステッキの包装を解き終えた。

「はえっ?」

 ちづ子は思わず声をあげた。それはきらびやかなステッキではなく、どちらかと言えばボロボロのステッキだった。大きく丸い頭の部分に四角い胴体、その下からは細長い円錐状のものがある。その形はちづ子も噂によく聞いていたセブンズ・ロッドの形容そのものであったが、目の前のそれは朽ちた木、錆びた金属、乾燥したプラスチック、そんなもののようなイメージしか浮かんでこない。

「意外だった?」

 のぶ子が言う。

「う、うん」

「正確にはね、セブンズ・ロッドから外されたステッキなの」

「?」

「ちーちゃん、女王様に逆らった魔法のステッキの話、知ってる?」

「し、知らないけど…もしかしてこれがそう?」

「そう!ちょっと前に女王様に逆らったステッキがあって、女王様に魔力から何から全て封印されたんだって。それがこのステッキだよ」

「へえ…」

 ちづ子はそのステッキに手を触れようとした。

 ピリッ!

「!」

 指先から痺れを感じ、思わず手を引っ込めるちづ子。

「ピリッとくるでしょ」

「ど、どうして」

「ステッキ屋のおじさんの話だと、すっごい魔力を封印してあるからそうなるんだって」

 そういうのぶ子はさっきから素手で触れているが、にこにこしている。

「こ、怖いね、ってのんちゃん大丈夫なの?」

「私?私慣れちゃった」

 うっとりした表情で頬ずりしている。

「今はこうしても大丈夫~」

「でも封印してあっても魔力が漏れ出るなんて、凄いね」

「強大な魔力の名残だね」

 どこかから取り出した布でステッキを磨く。

「だからこそ、超レア物!」

 嬉しそうにステッキを磨いている。

「こんなもの、人間界に持って来て大丈夫かな?」

 ピリピリに慣れたのか、ステッキを指でつつきながら言うちづ子。

「大丈夫!大丈夫!」

 みずぼらしいのは変わりないが、のぶ子によってキレイになったステッキ。

「私たちを操る魔力があるとか言うなら問題だけど、今はちょっとピリッてくるだけだよ」

「そ、そうかな」

 そうちづ子が言ったとき、二人は窓の外に気配を感じた。とっさにのぶ子は自分たちの居る家に結界を張った。

 バン!

 飛来し、部屋のガラスを突き破ろうとしたものが結界に思いっきりぶつかった。

「レギオン・アラン・テオドラウヌ…」

 防御の結界を強めるのぶ子。

「…おお世界の父なる主よ、その御身をもって…」

 ちづ子は手で印を結び、エネルギーの固まりをその掌の中に抱いた。

『なにやってんのよ!』

『んな事言ってもな!いきなり結界が…』

『って、あんたの背中にいる私を激突させるこたあなかろうが!』

 ガッシャーン!

 結界と窓ガラスを破って、どころどころ赤黒くなった棒状の物体が部屋に投げ込まれた。

「おい!無茶するな!」

「そうですわよ霧ケ崎さん!穏やかではありませんわ!」

 ちづ子は大きく振りかぶった。

「いくよっ!」

 手の中にある高エネルギー体を侵入者に向けて投げ付けた。

「!」

 それは侵入者の一人、金髪の少女と思しき者に向かっている。

「ふん」

 侵入者のうち、明らかに人の形をしていない全体的に黒いものが、その手と思えるものをほんの少し動かした。

 ふっ

「あれっ?」

 ちづ子の放った高エネルギー体は消えた。

「手荒な真似はしないでほしい。こちらも手荒な真似は…」

 そう言いながら自分たちが破ったガラスの破片を見回す侵入者。

「今後一切しませんので」

 急に腰が低くなり、どこからか取り出した掃除機でガラスの破片を片付ける金髪と黒い侵入者。

「おい」

 侵入者はもう一組いて、黒い侵入者がもう一組の片割れに声をかけている。もう一組はポニーテールの少女と所々赤黒くなった棒状の物で、ポニーテールの少女はその赤黒い物体を痛め付けていた。

「え」

 黒いのに気づかされたポニーテール。所々返り血のようなものを浴びている。

「ああ」

 ちなみにちづ子とのぶ子は多少脅えつつも身構えていた。

「突然こんなことになってごめんなさい。危害は加えないわ」

 黒い者からバスタオルを渡され、返り血を拭きながら言うポニーテール。

「説得力が無いですわよ」

「うるさい」

「…」

 のぶ子はぼーっと見ている。

「ス」

「?」

「スヴェイン・ケルベロス!」

 突然のぶ子が叫んだ。

「俺のこと知ってるのか」

 はっとしながら聞き返す。

「当然よ!セブンズ・ロッドの一つにしてテレカマニア!」

「マニアって言うな!」

「うわー!生で見れた!」

 スヴェインに近づき触れようとするのぶ子、後退りしてのぶ子をかわすスヴェイン。

「むー」

 脹れながら金髪を見る。

「そうなると…この子がスヴェインのマスター?」

「そ、そうなりますわね」

「うわー!いいな!いいな!」

 キラキラした目で金髪を見るのぶ子。満更でも無さそうな金髪。

「え!となると…」

 急にはっとして赤黒い物体を見るのぶ子。

「あれは…」

 のぶ子の瞳が急に死んだ魚のような目になる。

「アルバート…ホリックル?」

「アホ助知ってんの?」

 血を拭ってきれいになったポニーテール。

「…アルバートの…マスター?」

 冷めた目でポニーテールを見るのぶ子。

「アルバート…」

 ちづ子は両手で口を被い、後退りした。

「ちーちゃんも知ってんだ」

 のぶ子もちづ子に身を寄せる。

「…」

 いろいろと悟ったポニーテール。

「念のために言っとくけど、好きでこいつのマスターやってんじゃないから」

 そう言いながらまだ横たわっているアホ助を足でこつく。

「!」

「どうした!」

 一瞬ポニーテールの『気』が変わったのを、スヴェインは見逃さなかった。

「抜け殻!」

 そう言いながらとっさに辺りを見回すポニーテール。

「そこか!」

 ドヴァン!

 隣の部屋へと続く扉を蹴破るポニーテール。

 そこには、タンスを物色する(以下略)。

 数分後。

「はあ…はあ…」

 息の上がったポニーテール。もう血は拭えない。

「わー!私たちの下着がー!」

「もう捨てた方がよろしいですわよ」

 虫の息で口をパクパクさせているアルバートに近づくスヴェイン。

「ん?何?」

 そこから何か聞き取ろうとする。

「あらきかなお…もえ…?」

 聞き取った言葉をそのまま口にするスヴェイン。その刹那、どこかからか取り出したチェーンソーで赤黒い物体を細かく切り刻んでゆくポニーテール。

「あなたたち何しに来んですかー!」

 ちづ子の絶叫が部屋に木霊した。



(続く)


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  1. 2010/03/21(日) 22:19:24|
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