FC2ブログ

霧の中で

管理人「ガン」(Key系小説同人サークル「オーパー」支配人兼音楽監督)

ワルプルギスの夜は明けて

 交響楽団『ワルプルギスの夜』による、魔法少女まどか☆マギカ(以下まどマギとする)の音楽を管弦楽編曲で演奏し、しかもそのメンバーは奏者からスタッフに至るまで全てまどマギ好きの人々というイベントが2013年4月に東京であった。

 まず、このイベントは史上稀にみる素晴らしいものであったことを最初に記しておく。
 そしてスタッフの方々、奏者の方々に果てのない感謝を捧げる。

 私は幸運にも、そのイベントに聴衆として参加でき、音楽を聴くことができた。それについて感じたことをこれから書くが、あくまで私見である。取るに足らない蛆虫が何か喚いている程度のことである。

 まず、マイナスに感じたことを書く。

 やはりアマチュアオーケストラの宿命なのだろう、技量不足を感じる所があった。一例として、数人で演奏していた某管楽器は、ピッチが合わないのはまあ良いとして、スカスカと吹きそこなう様子が聞き取れた。また某弦楽器は、これもまた酷とは思うのだが、ピッチが合っていない。その楽器が目立つパートとなるとどうしてもそれが目立ってしまう。
 ただこれは、アマチュアのオーケストラならどこにでもある問題である。

 このイベントはまどマギの音楽を管弦楽編曲というものだった。その手法や聴いた感じについては、これはもう私の主観の話になるので言及を避ける。ただ、どうも『管弦楽編曲』ではなく、『吹奏楽編曲』なのではないかというものがいくつかあった。弦がいらなければ、吹奏楽のコンサートとして行えばよい。せっかく存在している弦パートが死んでしまっているように感じたものである。ある打楽器系の楽器、その奏者は格別にレベルの高いものであったが、それゆえに他の音を壊滅させているようにすら思ってしまった。
 私はまどマギは、ベートヴェンやシェークスピアのようにいつまでも人々の中に生きていてほしいと思っている。それは作品そのものだけではなく、例えばベートーヴェンの第九交響曲の『歓喜に寄す』のシラーや、シェークスピアの『真夏の夜の夢』から生まれたメンデルスゾーンの劇音楽のように、作品に関わっているものも例外ではない。だからこそ、それが喩え同人編曲であろうとも、素晴らしいものであってほしいのである。

 ある曲でチェロのソロパートがあった。チェロ専用の演奏スペースが指揮者の隣に設けられ、それが際立つように演出された。その奏者は(おそらく)チェロのパートリーダーだったのだが、いざ演奏となったらチェロのソロが全然聞こえない。なんでこんな技量でソロをやっているのかと思ったが、他の曲の演奏で、違う場所(元々のチェロの位置)で演奏しているときは音がよく聞こえた。これはホールに問題があるのではと思った。総合的な音響の面でザ・シンフォニーホールやサントリーホールに劣るのは止むを得ないとしても、これは問題である。ある方がこれについてツイッターで『反響版の問題』ということを仰っておられた。そういえば、チェロに限らずソロ楽器がどうも響かないと思った箇所がいくつもあったが、これはホールの問題だったのだろうか。

 ホールと言えば、これもまたいろいろな面で仕方のないことなのだろうが、収容人数が少ない。結果、多くの聴衆希望者を魔女化させてしまう一因となった。

 運よく聴衆となれた者にも試練があった。会場前に列形成がなされたが、聴衆のうち半分以上が戸外で待つようになったのである。リアルに『ワルプルギス』だった当日は雨、私は今でも風邪など体調不良を起こした方がおられたのではないかと心配している。少ないスタッフ、限られたスペースでいろいろ遣り繰りするのは想像を絶する苦労があるとは思うが、何かもっとよい方法はなかったものかと思ってしまう。

 では、プラスに感じたことを書く。

 まず、このイベントは行ったことそのものが褒め称えられるものである。この義挙は後世に語り継いでゆかれるものとなるだろう。

 オーケストラの技量について前述したが、それが高いパートもあった。打楽器群をまず挙げよう。マーラーやメシアンばりに多彩な打楽器、これらをよくこなしていたものと思う。そしてノリノリだったティンパニ、私は冷静に演奏してほしい方だったが、彼がこのオーケストラ、ひいてはイベントを象徴しているように思えた。ブラスもトロンボーンが良かったが、それよりも私がさらに気になったのがオーボエだった。最初、オーケストラは調音するときにオーボエから音を引っ張る。しかし、オーボエは世界一難しい楽器と呼ばれるぐらいに、合った音を出すのが難しい。それをアマチュアオーケストラで、それこそスカーン!と通る音を出したことにビックリした。欲を言えば少々、ほんの少々高い気がしたように感じたが、これは私がおかしかったのだろう。当然これ以後もこのオーボエ奏者は中々な演奏を行っていた。私見では、疑いなくこのオーケストラ最高の奏者であった。終演後にぜひお会いしたいと思いアクションを取ったが、叶わなかった。残念である。
 そして、私が感じた技量不足を補って余りあるのが、オーケストラ全体のモチベーションである。それはまさに荒れ狂う炎のようであった。こればかりはプロのそれを凌駕していたといってもいいだろう。私が今まで聴いてきた全てのオーケストラで、一番というものではないが、少なくとも十指には入る。そういえば、当日八王子駅で楽器を持った数人の女性がタクシー乗り場に急いでいた。彼女たちが話していた声が少し、そばを通りかかった私の耳に入った。「ほむほむ戦ってる!」。モチベーションが高くないわけがなかったのだ。

 演奏された音楽そのものについて、これも私が感じたものであるが、素晴らしかったものを挙げる。巴マミの音楽を編曲したもの、これが光っていたように思う。元々の素材を使用しつつ、意欲的に展開を成していた。これならまどマギを知らない人でも通用するのではないだろうか。この編曲者、この他の編曲にも光るものが多く、好感が持てた。また、人魚の魔女と戦闘シーンの音楽を編曲したものがあった。あれは元々オーケストラっぽい曲だったせいもあるのだろうが、よくできていた。ある弦楽器のピッチが合っていないことを前述したが、それも相成ってよい効果を出していた。もっともこれは、楽譜の指示であったようにも思う。
 また、まどマギの世界を、その音楽を何とかして表現しようと編曲者たちが頑張ったあとがよく聞き取れた。例えば打楽器の音がそうだろう。数十年オーケストラを聴いている私が聴いたことのない音がいっぱい聞こえた。そして、打楽器奏者を中心に、それを演奏する奏者の努力たるや、これはまどマギどうこうよりも演奏上の歴史に刻まれるべきものである。マーラーが生前にこれを聞いていたら、必ずや自身の交響曲に取り入れただろう。

 指揮者は、おそらくこの世界初演のこれらの曲を、オーケストラも含めて頑張って纏め上げていたと思う。今度この指揮者でベートーヴェンとかを聴いてみたい。

 スタッフはほんとうによく頑張っていて、しかもセンス満点だったと思う。さり気なくキュウべえが例の台詞を言いながら置いてあったり、個人識別用のスタンプを企画し、それが『魔女のくちづけ』。会場アナウンスにも小ネタが仕込まれていた。曲の解説などをするナビゲーターも仕込まれていた。曲順もよく考えられ、時折原作の中にもあったヴァイオリンソロの曲が入っていた。特に最後、アヴェ・マリアが演奏された。これは最終話で上条恭介が弾いているものを再現したものである。さすがに私も目頭が熱くなり、思わずこの会場で、昇天する二人を探してしまったものである。

 そして、また繰り返し述べるが、このイベントは行ったことそのものが高潔なのである。褒め称えられるべきであり、後世に語り継いでゆかれるものと思う。
 全く聴衆に対しては無償であり、自分たちが資金を出し合って行ったことの意義はとんでもなく深い。聴衆として参加はしたが、無償であることを申し訳なく思った。
 また聴きに行きたい。掛け値なしにそう思う。

 是非二回目を行ってほしい。そしてそれが三回四回と続き、常設のオーケストラとコンサートになればなお面白い。そしてそのとき、ベートーヴェンの第九を演ってほしい。

 私が魔女化しても叶えたい望みである。(笑)


スポンサーサイト



  1. 2013/04/25(木) 00:51:37|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<04/28のツイートまとめ | ホーム | この前の上京>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://opergan.blog113.fc2.com/tb.php/231-c0ecae9f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

opergan

Author:opergan

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する